C社の事業・商品構造


C社の事業構造とその変化を、2012年度から2014年度までのデータに基づいて分析した、ランキング分析の事例です。従来の方法(通常のグラフ)による分析とCARPES手法による分析を比較します。

従来型の分析

通常のグラフでの分析を行います。

社全体の売上高推移

図CA-1に2012年度から2014年度までの売上高推移を示します。このグラフから次のことが読み取れます

◆各年度ごとに10%近い伸び率を示しており、順調な事業展開といえる。

 

図CA-1 C社売上高推移

事業領域別の売上高ランキング推移

図CA-2に2012年度から2014年度の事業領域別の売上高推移を示す。このグラフから以下が読み取れます。

◆A領域がトップでほぼ半分を占める。

◆A領域の伸びが突出しており毎年約10%の伸びを示す中、他の領域は微増あるいは微減である。

 

図CA-2 C社事業領域別売上高推移

商品別の売上高推移(A領域)

図CA-3に2012年度から2014年度までのA領域商品(主な商品のみ)の売上高推移を示します。このグラフから以下が読み取れます。

◆系列1商品の伸びが著しく、他の主力商品は微増あるいは微減である。

◆新商品が主力になるには数年かかりそうである。

◆新商品の投入により他の商品の伸びが軒並み頭打ちとなっており、下位の商品は入れ替わりになる可能性が高い。

 

図CA-3 C社A領域商品別売上高推移

商品別売上高ランキング(A領域)

図CA-4に2014年度のA領域商品別売上高ランキングを示します。このグラフから以下が読み取れます。

◆圧倒的トップの系列1商品、2番手の系列2と系列3、それ以下の3グループに分かれる。

◆系列1商品が半分近くを占める。

 

図CA-4 C社A領域商品別売上高ランキング(2014年度)

CARPES手法

CARPESではランキング分析に対数グラフを使います。

 

事業領域別売上高ランキング

図CA-5に通常グラフと対数目盛グラフを比較します。ここから以下が見えてきます。

◆対数グラフにするとデータはほぼ直線上に乗る。

◆各領域の売上高は下記の式で近似できる。  但し、T:トップの売上高、R:ランキング(2位なら”2”)

図CA-5 事業領域別売上高ランキング2014

事業領域別売上高ランキング推移

図CA-6に各年度の領域別売上高ランキングの対数グラフ表示を示します。

◆各領域の売上高ランキングは各年度とも右下がりの直線に乗る。

 

図CA-6 C社事業領域別売上高ランキング推移(対数グラフ-1)

このグラフを重ね合わせると(図CA-7)また新たな姿が見えてきます。

◆年度を追うごとに直線の傾きがすこしづつ急勾配になっている。

◆3位の領域を軸として直線が時計回りに回転しているように見える。

 

図CA-7 C社事業領域別売上高ランキング推移(対数グラフ-2)

商品別の売上高ランキング推移

次に商品別のランキングを対数グラフで表してみます(図CA-8)。ここから次のことが見えてきます。

◆商品のランキングデータも領域のランキング同様に直線の周りに集まる(新商品を除く)。

◆直線の傾きは領域の場合とほぼ同じである。

◆ランキングは直線に沿って移動していく。

 

図CA-8 C社A領域商品別売上高ランキング(対数グラフ-3)

このグラフを重ね合わせると(図CA-9)また新たな姿が見えてきます。

◆年度を追うごとに直線の傾きがすこしづつ急勾配になっている。

◆3位の領域を軸として直線が時計回りに回転しているように見える。

この動きも領域の場合と同じです。

 

図CA-9 C社A領域商品別売上高ランキング(対数グラフ-4)

CARPRS分析から湧きあがる疑問??

CARPES分析の結果、今までにない新しい疑問が湧きあがるはずです。

◆なぜデータが直線に乗ってしまうのか?

◆1位がわかれば他は概略計算できてしまうということをどう理解すれば良いのか?

◆直線が回転していることをどう理解すれば良いのか?

◆領域と商品が同じ傾き、同じ回転ということをどう理解すれば良いのか?

◆この直線の傾きと回転は経営の意図に合致したものなのか?そうでないとすれば何が原因か?

◆何か気づいていない問題があるのか?あるとすればその解決方法は?

◆他社はどうなっているのか?

◆法則性があるようだが、これは自社固有か?業界固有か?普遍的か?

◆他のデータも似ているのではないか?

たった2種類のランキングデータ分析で、今までにない疑問が10項目近くも出てしまいました。他のデータを調べると疑問が山のように出て来そうです。