2009年度のA業界売上高ランキングを2種類のグラフで表示します。
通常グラフではありきたりの観察しかできませんが、両対数グラフ表示でみると様相が一変します。
ここでは2009年度と2014年度のデータで比較してみます。通常のグラフからは決してわからない情報です。
◆トップの交代だけでなく下位も順位がかなり入れ替わっているが、両年度ともにほぼ右下がり45度の直線の周りにデータが集まっている。
45度の直線は以下を示しています。
◆直線は、業界内で秩序形成された結果である。
◆45度の角度は、自然にまかせた結果出現する典型的な値であり、熾烈な自由競争がこの業界で続いていることを示す(談合や寡占の場合は直線の現れ方が異なる)。
当期利益ランキングを同様に対数グラフで表すと、やはり広範囲に直線が現れます。これは以下を示します。
◆利益も業界で秩序形成される。
◆直線の傾きは60度に近い。これは、この業界に利益の寡占メカニズム、すなわち上位企業ほど利益を多く吸い上げるメカニズムが働いていることを示唆している。
注① : 企業序列は売上高ランキングと利益額ランキングで異なります。例えば売上高5位の企業が、当期利益では10位など。
注② : 50社中の最下位46位~50位は赤字企業であり、このグラフからは除外されています(対数グラフではマイナスの数字は表示できないため)。
注③ : 50社中の下位41位~45位は黒字企業ですがこのグラフからは除外されています(グラフの縦軸最小目盛を”1”としたため)。
注④ : 50社中の下位20位以降は直線から離れて急速に落下しています。これはランキングデータの下位に現れる通常の傾向です。
注⑤ : 直線部(上位20社)の企業の当期利益額の合計は50社の利益合計の95%を占めます。